メールのみで新卒の内定辞退を伝える方法【例文あり】
こんにちは!
採用コンサルタントとして企業の外部人事や、大学で就活講師として活動する”採用者たてがみ”です。
本記事では『内定辞退時の正しい連絡方法』についてお話していきます。
しっかり頑張って、たくさん内定を取れたとしても、就活には最後まで悩みがつきものです。とはいえ、いただいた内定を破棄するというのは幸せな悩みでもあります。よくここまで頑張りましたね!
さて、みなさんはこんな悩みにぶつかってはいませんか?
メールで辞退したいけれど、社会人として電話でお断りをすることがマナーなのではないか?
電話をすると引き止められて断れなくなってしまうのではないか?
私も学生時代、電話で内定辞退をしたら、そのまま1時間くらい考え直してくれないかと説得されて心苦しかったです。ただその時の人事の気持ちも今となってはよくわかります…(涙)
せっかくもらった内定をどのように断ったら良いのか。今回は内定辞退における連絡について、普段から内定辞退をされている人事の目線として解説します。(言っていて悲しくなります…)
後半には内定辞退をする際のメール例文を記載しましたので、ぜひご活用ください!
内定辞退は電話ではないとNGなのか?
私も学生のみなさんから、よくこの質問をいただきます。
よくよく話を聞くと、電話をするのは心苦しいからメールで済ませたいという気持ちがあるようですね。気持ちはわかります。
ちなみに結論から言うとメールのみで問題はありません。
とはいえ、みなさんも後ろめたさを感じるはず。ここではなぜメールのみで問題ないのかを人事目線でお伝えしていきますので、心配な方はぜひご覧ください。
企業(人事)も内定辞退されることはわかっている⁉
みなさんからすると内定辞退はそこそこ心理的負担の大きなものに思えるかもしれません。
しかし、人事からすると内定辞退は「あ、またですね」という慣れた事象にすぎないのです。
(誤解のないようにお伝えすると、確実にショックではあります。私も毎回へこみます)
それはなぜかというと、まず前提としてみなさんは最終的に1社しか選べませんが、何十社も受けますよね。ということは最後に選んでもらえることの方が少数なわけであり、それを人事もわかっています。
つまり内定辞退されることを前提に”採用戦略”を組んでいるのです。
”採用戦略”
みなさんが就活の計画を立てるのと同じように人事には”採用戦略”という言葉があり、会社から与えられた「新卒を〇名採用しなさい」という任務を遂行するための作戦や指標のことを言います。
そしてその採用戦略の中で、大半の企業は入社予定人数より多くの内定人数を出します。
つまりは、内定を出した人の中で確実に数十%には内定辞退されることを前提に就活を進めているのです。
当然ですよね。自分たちが良いと思った方なら、他の企業だって良いと思うはずですし、そんな都合よく内定を出した全員が就職してくれるなんて思ってはいないのです。
そのため、内定の辞退については悲しい気持ちはあるものの、あくまで機械的に業務として受け止めるため、「礼儀として電話してこい」なんて古風な感情は持ち合わせていない人事の方が大半です。
内定辞退はメールのみでOK!
はっきりお伝えしますが、内定辞退はメールのみで問題ありませんし、なんなら一旦メールでいただきたいです。
色々な就活ツールに目を通すと「電話は必要!」などもとあり、私も電話をすること自体は悪くないと思いますが、なぜメールの方が良いのか人事の業務視点で解説します。
みなさんも社会に出るとわかると思いますが、社会人の仕事ではエビデンス(証拠)を取るという行為が重要になります。
例として下記2つのケースを見比べてみましょう。
部下「すみません。〇〇さんから内定を辞退したいという電話をいただきました」
上司「なに!? 理由はなんだ?」
部下「うち(弊社)ではなく、他の入社したい企業に内定をもらったとのことで…」
上司「本当にそうなのか? まだうちとしては5人も入社させなければいけないんだ。どうにかならないのか?」
部下「わかりました…。もう一度説得の電話をかけてみます」
部下「すみません。〇〇さんから内定を辞退したいというメールをいただきました」
上司「なに!? 見せてみなさい…。なるほど、エビデンス(証拠)も来てしまっている。し、仕方ない。このメールをもとに上には報告しよう。〇〇さんは仕方ないが、他の学生たちにはうちを選んでもらえるように努力しよう」
部下「そうですね。今回は残念でしたが、他の内定者のみなさんのフォローをしてきます!」
Aでは、まだエビデンスがとれていないので、結果が覆る余地があると判断されます。ただし、Bの場合はもう手遅れであることが上司の目から見ても一目瞭然です。
また内定辞退を言った言わない問題も例年学校を巻き込んだ騒動になりますし、昨今ではSNSから情報を得て、まったく関係のない他人から勝手に内定企業を辞退される”なりすまし辞退”というケースもあり、今やメールでのエビデンス回収が必須となっています(メールアドレスを見れば本人であることが確認できるからです)
ここまでの理由から、みなさんが「礼儀として電話しなければいけないのでは?」と思っているのは、あくまで”感情論”であり、人事は”仕事(論理的)”で行っているため、電話は必ずしも必要ではないという結論に至ります。
内定辞退をメールのみで済ます際のデメリットは何?
電話しない=礼儀を通さないと悪いことが起こるのでは?
学生のみなさんとお話していると不安になられる方が多いようです。
結論から言うと大きなデメリットはありません。ただ下記2点に対しては、特に学生のみなさんが気になられているので解説します。
学校や後輩に迷惑がかかるのではないか?
正直に迷惑がかかったケースは見たことがありません。
そもそも少子化が進む中で就活は売り手市場(学生優位)です。そのため、あなた一人を憎むばかりにその学校から来る他学生とのチャンスまでをも打ち消すなんて愚策はしないでしょう。あくまで個人の問題です。
ちなみに大学のキャリアセンターの先生や、企業人事が多く集まる機会などにこれまで幾度となく出席させていただきましたが、基本的に「企業人事から大学に挨拶にいく」という風潮が非常に多いです。そのため企業としては大学に対してあまり強く言えないという裏事情があります。
いつか社会に出たときに再会し、気まずい思いをするのではないか?
実際に会ったことは数度あります。ただ、上記にもあるようにもともと辞退されるつもりで採用戦略を組んでいるので、負の感情を持ち続けることは少ないですし、そもそも辞めていく人のことをいちいち明確には覚えていられません。むしろ学生だったみなさんが覚えていてくださっていて、声をかけてくださる方がほとんどでした。
また、あなたのことを一番覚えているのは人事の方になりますが、人事は自社に対して閉鎖的な仕事なので、取引先として合う事も少ないでしょう。
大抵の大人は「あの時は困ったよ~。けど今は活躍しているみたいだね!いつかうちの企業においでよ!」で済むはずです。学生だったみなさんに対して、数年後も悪態をついてくるような懐の狭い相手とは、きっとビジネス上でも上手くいくはずがありません。そんな人のことは気にせず、やっぱり辞退して正解だったなとわりきって考えられると良いと思います。
内定辞退をメールのみで伝えるときの例文
それではさっそくですが、内定辞退時にそのまま企業人事に送付できるメール例文を紹介いたします。
必要な各項目については、次の章でご案内しますので、まずは簡単に目を通してみてください。
●件名
貴社内定の辞退につきまして(〇〇大学 立神太郎)
●本文
□□株式会社
△△様 or 新卒採用ご担当者様
お世話になっております。
〇〇大学〇〇学部の立神太郎でございます。
表題の件について、連絡させていただきました。
大変恐縮ではございますが、
貴社よりいただいた内定を辞退させていただきたく存じます。
理由としましては、志望の高い他企業より内定をいただき、
そちらに承諾することと致したためでございます。
選考で多大なお時間を割いていただいたにも関わらず、
誠に申し訳ございませんが、ご理解いただけますと幸いです。
ただ、貴社より内定をいただけたことは、今でもとても嬉しく思っており、
△△様をはじめ、選考にてご対応いただいた皆様には感謝が尽きません。
ありがとうございました。
末筆ながら、貴社および皆様の益々の発展をお祈り申し上げます。
——————————————————
〇〇大学〇〇学部
立神
Tel:090-0000-0000
Mail:address@xxxuniv.ac.jp
上記の例を参考にして、内定辞退のメールを送ってみましょう!
内定辞退をメールのみで伝えるときに必要な項目について
ここでは上記のメール例文を参考に、内定辞退メールに必要な項目をポイントごとに解説していきます。
- 件名
- 辞退の趣旨
- 辞退理由
- 内定辞退へのお詫び
- 内定への御礼
1.件名は内容がわかるように簡潔にしましょう
件名: 貴社内定の辞退につきまして(〇〇大学 立神太郎)
件名は内容を簡潔に表したものです。特に毎日学生から多くのメールが届く人事の方には「誰から(Who)」「何を?(What)」を意識して書けると丁寧でよいですね!
また、前項でも記載した通り内定辞退は企業にとっても早く確認しなければならない事柄ですので、その旨がはっきり記載されていることが望ましいです。
2.辞退したい旨をハッキリと伝えましょう
大変恐縮ではございますが、
貴社よりいただいた内定を辞退させていただきたく存じます。
名乗った後は簡潔にメールの趣旨を伝えられるとよいです。
ビジネス枕詞としては、「大変恐縮ではございますが」や「大変申し上げにくいのですが」が望ましいです。
(悪いことをしているわけではないため、ここで謝る必要はありません)
3.可能な限り辞退に至った理由を伝えましょう
理由としましては、志望の高い他企業より内定をいただき、
そちらに承諾することと致したためでございます。
こちらはあくまで任意ですが、可能な限り辞退に至った理由を伝えましょう。
みなさんも意中の相手に振られてしまったら「なんで!(泣」と理由が知りたくはなりませんか?
またそれ以上に、人事はみなさんを採用・面接するために多額の資金を投入しています。その失敗結果の理由さえもわからないままだと今後に活かせられないだけはなく、会社への報告すらもできないため、みなさんに再度理由を求めて電話してくる可能性もあります。
そうなるとみなさんも二度手間です。そのため、可能な限りお伝えいただくと良いと思います。
※この際に入社予定の別企業名を伝える必要はありません
4.内定辞退へのお詫びを伝えましょう
選考で多大なお時間を割いていただいたにも関わらず、
誠に申し訳ございませんが、ご理解いただけますと幸いです。
「2.辞退したい旨をハッキリと伝えましょう」にて謝る必要はないと記載しましたが、お詫びの言葉は伝えられると良いです。
なぜなら、説明会や面接で多大な時間をかけていただき、その結果内定をいただいたにも関わらず、期待に応えられないことは紛れもない事実だからです。
そのため、これから社会人になるみなさんは、ここで綺麗にお詫びの一言が添えられると良いですね!
5.内定への御礼をしましょう
ただ、貴社より内定をいただけたことは、今でもとても嬉しく思っており、
△△様をはじめ、選考にてご対応いただいた皆様には感謝が尽きません。
ありがとうございました。
最後にこれまでの感謝を伝えられると良いです。
基本的にはメール全体がお詫びの文章にはなりますが、最後に内定をいただけて嬉しかったという気持ちを表すことで、人事としても「うち(弊社)のことは決して嫌だったわけじゃないんだな…」と好意的に思ってもらう事ができます。
また、内定は嬉しかったという意図が伝われば、自社以上に思いの強い企業に内定をもらって辞退された、もしくはそれ以上の理由があるため辞退になったと理解し、もう説得しても覆らないという印象を与えられるため、無駄な説得への抑止力になります。
本記事のまとめ
最後まで読んでくださり、ありがとうございました!
本記事では内定辞退の際にみなさんが気にされることを考慮しながら、メールでの辞退文を記載させていただきました。
改めてですが、内定を断るのは申し訳ない・言いずらい、などの不安はあるものの、内定辞退は決して悪いことではありません。そのため、しっかりと誠意をもって、ご辞退いただければ大丈夫です。
また、人事の方は内定辞退の連絡を一定数の方から受け取ることはわかった上で仕事をしています。
それもあくまで仕事であるため「電話でしっかりと謝らなければならない」などの感情論は、あって悪いものではありませんが、必要なものでもないです。まずはしっかりとメールで辞退の意思が伝えられれば問題ありません。
ぜひ本記事で紹介したようなメール例文を参考にしていただき、しっかりと企業にお返事をしましょう!